白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

エッセイ(令和)

健常者世界/障害者世界

ある障害者との会話で「健常者」という言葉が出てきた。軽いショックだった。私はこれまで「一般世界」という言葉を使ってきたが、「健常者世界」と言った方が正確だと思った。 健常者世界。私は50歳まで健常者世界にいた。38歳以降、精神科のお世話にな…

亡き父、黒崎勇の思い出

父、黒崎勇(甲南大学名誉教授、ドイツ文学)が、昨日亡くなった。 昨日、お別れをしてきたが、痩せこけていたものの、道徳的な雰囲気を醸していた。肩に置かれた、KENTの1mgが印象的だった。 父には本当に可愛がられた。欲しいものは何でも買ってく…

借金論

入院は無くなった。昨日は私の借金問題で、火の粉が降りかかった。 「借金ありますよ」 「なに~。借金がある。見損なった」 「絶対に返さないとダメよ。千円ずつで良いから」 一般社会での借金に関する観念を思い知らされた。 通常、借金をするのは生活に困…

一般社会と障害者

深夜に、スマホから書いている。 はて、一般社会とは、何なのか。身体障害者とは、精神障害者とは、何なのか。 社会復帰とか、社会参加という、おかしな言葉がある。社会にいなかったとしたら、刑務所にでもいたのだろうか。 社会という言葉は、多くの場合、…

精神疾患の治療手順

1.精神疾患概念 今まで、二大精神病と言えば、躁うつ病と統合失調だったが、最近では、うつ病、発達障害、自閉症スペクトラム、アルコールや薬物の依存症、境界性人格障害、サイコパス、知的障害など、どんどんと精神疾患概念が広がってきている。 昔は、…

近代の終焉

私は、2014年に「次世代文明の誕生(銀河版」を出版したが、拙速だったようだ。 まず先に、「近代の黄昏」と「近代の終焉」を書くべきだった。 人類が新たな千年紀を迎えて、20年がたった。世界は、どう変わったのか、そしてどう変わるのか。歴史観の…

転落はしても、破滅はしない

私は転落経験者だ。破滅したと思っていた時期もある。しかし、日本では転落はしても破滅はしない。家庭は破滅するかもしれない。しかし、個人は破滅しない。 なぜならば、日本には自己破産の制度がある。生活保護の制度がある。つまり、転落しても生きて行け…

魔の午前2時

魔の午前2時とは何か。それは、睡眠障害で中途覚醒する時間である。それだけなら、魔ではない。完全に眠気が取れて、近くのコンビニにハイボールなどを買いに行く。そんな日が1ケ月以上続いた時があった。これが、魔の午前2時だ。 その後は、中途覚醒して…

夢も希望も無い方が良い

夢。希望。若い頃はたくさんあった。叶ったものもあれば、叶わなかったものもある。思えば50歳までは華やかな時代だった。結婚した。子供が出来た。家を買った。毎日銀座で飲んでいた時期もある。毎週、大阪で遊んだ時期もある。友達は、それだけ美味しい…

精神障害者という枠

私が精神障害者になったのは、2012年だ。障害年金を申請し、障害者手帳を取得した。これで人生が変わった。 一般世界は経験していたが、障害者世界がどんなところなのか、まったく無知だった。障害者就労があることは知っていたが、就労継続支援A型やB…

成果主義からの離脱

成果主義。私にも成果を追い求めた時代があった。つい最近もそうだ。経済学者を諦め、作家になる、詩人になると頑張った。 しかし、ご存知の通り、私は38歳で精神病になった。ヤバい薬を大量に飲み続けた。結果、知能の低下、好奇心の喪失、無能化。 いま…

セルフイメージを高くたもて

「昔、大学病院の教授に、セルフイメージを高く保つように指導を受けましてね。印象に残ってます。今、就Bや地活に行っていますが、行くとセルフイメージが下がるんです」 「いいですか。その時の貴方は勝ち組だった。いまはどう。負け組どころか底辺よ。セ…

女神先生の診察

女神先生。女神というからには美人だ。腕もいい。大きく股を開いて座る。私も3度、命を救われた。主治医になってもらいたいのだが、それは無理。非常勤だからだ。 今日は下痢にきく最強の薬をもらった。 昨日は1時間に8回の便失禁で、大変だったからだ。 …

緩慢な自殺について

絶望した。回復はない。 もう、昔のような冴えた論文は書けない。 もう、昔のような冴えた小説は書けない。 もう、昔のような冴えた詩は書けない。 精神病の薬のせいだ。もう、生きている意味がない。 性欲すら無くなった。味覚も衰えた。 ただ、角ハイボー…

新しい経済学

新しい経済学。現在の経済学が「豊かさの経済学」とするならば、新しい経済学は「快適さの経済学だ」。もはや、貧困と戦う時代ではない。もっとも、貧困国のことは知っているが、いまの開発経済学は逆効果だ。 利潤を追求し、所得を倍増させる時代は終わった…

コロナ時代

t-k 世界中がコロナでひっくり返っている。軽症率80%のウイルスに翻弄されている。政治も経済も大混乱だ。これで自民党政権は安泰。10万円の定額給付金が効いたね。 問題は東京だ。すっかり悪者にされてしまった。繁華街封鎖だって。ネズミ1匹つかまる…

死を受け入れて生きる

人は、いつか死ぬ。そんなことは小学生でも知っている。しかし、若い頃は死を意識しない。当たり前に日常があり、熱狂がある、喜びがあり、悲しみがある。そこには、明日があるという前提がある。 シニアになると、死を意識する。死にたくないと思う。長寿を…

ホームランを狙え

jiteki 昨日、マネージャーのくろいぬ氏に言われた。一発当てるしか無いですね、と。 基本は簡素化だと考えた。このブログのカテゴリーは意味不明だし、公式ホームページは乱雑だ。一発当てる前に、基本を整理しないといけない。 どこかで、これを整理しない…

あるがままに

とある理由で、開かずの空間となっていたクロゼットをヘルパーさんと一緒に整理したところ、貴重なものが多数出てきた。その中に、マハルシの「あるがままに」があった。今はマネージャーのくろいぬ氏からプレゼントされた本だ。多分2016年のことだと思…

マーケティングの裏側

マーケティング。私は大学時代3つのゼミを掛け持ちしていた。本来の会計学のゼミの先生は嫌な顔をしていたが、マーケティングのゼミでも経済学のゼミでも歓迎される客だった。三流大学から一部上場企業に入れたのも、マーケティングのゼミに行っていたから…

ささやかな暮らしへ

冷麺 ささやかな暮らし。それは人によって違う。私は喫茶店でアイスコーヒーを飲んで、タバコが吸えれば良いと言ったら、喫茶店もタバコも贅沢だと言われた。そこら辺の基準は人によって大きく異なる。私は1日2000円以内ならささやかだと思うが、100…

私と将棋

四段免状 私が将棋を覚えたのは、幼稚園の頃だ。鈴木さんという祖父(黒崎幸吉)の書生さんに教わった。なんでも、強かったらしい。 「近代将棋」や「将棋世界」を読んで、本格的に将棋を始めたのは、中学3年の時だ。放課後はたいてい、木村君、小林君と一…

煙草は頭脳労働者には必須だと思う

煙草とはタバコのことだ。これは日本では法的に定義されている。 では、頭脳労働者は。ああ、労働。面倒くさい言葉だ。一般を賃労働と考えがちだが、シャドーワークも労働だ。家事も労働だ。頭脳労働にも説明を要する。頭を使わない大学教官もいれば、思考フ…

博覧強記と浅学非才

驚いたね。某関西学院大学を卒業し、市役所に勤務していた、30代前半の女性が「博覧強記」を知らなかった。現代日本では、教養力の低下が進行中なのだろう。 そう言えば、国会で教諭を「きょうろん」と読んだ議員がいた。政治家として以前に、日本人として…

都市が象徴でなくなる時

こんにちは。久しぶりの次世代文明研究です。 歴史学によれば、文明の誕生は都市の誕生とイコールです。地理学的にも、そう言えます。今もそうです。都市は文明の象徴であるとともに、生活の機能そのものです。 しかし、21世紀という新たな千年期は、この…

欲望から節度へ

20世紀。それは、貧困と戦争の時代だった。狂騒の時代だった。欲望の時代だった。 しかし、21世紀のコロナ禍で空気は変わった。これからは、節度の時代になる。 人類の精神病的万能感は消えるだろう。地球の支配者だという思い上がりも消えるだろう。良…

人生と緊張の糸

50歳の時。人生に疲れていた。仕事での昇進はなくなり、家族とは別居状態。私は詩人になりたいと思った。そして、会社を辞めた。人生なんて「お気楽」が一番。真面目にそう思った。 大誤算だった。数千万の金が消え生活保護まで堕ちた。そして、今はアルコ…

政府は新しい生活様式を押し付けるのか

安部政権は狂っている。あらゆる面で。 そして、今度は有識者会議による新しい生活様式の提言だ。 は、政府は個人の生活様式に介入するのか? 人権侵害だ。自由の否定だ。 国家とは何か。自由とは何か。民主主義とは何か。自民党は真剣に、そこを議論すべき…

精神障害者にとって幸福とは何か

精神障害にもいろいろある、躁うつ病、統合失調、うつ病、発達障害。どれもヤバい。そもそも精神障害者に幸福はあるのか。そんな疑問も生まれる。 家族。そもそも家族があるのか。一人暮らしの障害者も多い。私もそうだ。 仕事。障害者就労。それは喜びだろ…

精神疾患と家族と会社

私が精神障害者世界に入ってから、多くの患者と知りあいになった。仲良くなった人もいれば、嫌いな人もいるし、絶縁している人もいる。 さあ、50人の人生は聞いているだろうか。その中には想像を絶する壮絶な話がいくつもある。そんな事件があったら病んで…