キャズムを超えないという戦略

キャズムとはビジネス・パーソンには馴染みの言葉だろうが、知らない人がいるかもしれないので説明しておこう。

キャズムとはエヴェリッド・ロジャースが提唱した下記の「ユーザーの5分類」だ。

1.イノベーター 2.5%
2.アーリーアダプター 13.5%
3.アーリーマジョリティー 34%
4.レイトマジョリティー 34%
5.ラガード 16%

つまり、新しいものに飛びつく速さでユーザーを5つに分類した。これに関連して、1991年にジョフェル・ムーアがハイテク産業の分析から、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には容易に超えられない大きな溝(キャズム)があるという理論を展開した。以降、各業界ではいかにキャズムを超えるかが課題とされるようになった。

しかし、これはオールドエコノミーの発想だなと思う。あの過疎化したmixiを見るとよい。アーリーマジョリティやレイトマジョリティが参入すると、イノベーターやアーリーアダプターは消えてしまったではないか。優良顧客が消えたことで、サービスの魅力が失われ、まったく別物になったというのがmixiの歴史なのだ。

これはSNSだけでなく他の業界にも言える。もともと、イノベーターを狙うような商品やサービスは規模の拡大を目指すのではなく、規模の限界を明確化すること、つまりはキャズムを超えないように注意することが重要なのだ。

この場合、キャズムを超えないと損益分岐点すら超えられないなどというのはマーケティングの失敗だ。シェア16%を超えないこと。シェア10-15%を目標に高価格帯で勝負すること。既存商品がキャズムを超えて良いのは、次の主力商品を発売する時でしかない。オールドエコノミーとニューエコニミーでは利益モデルがまったく違う。詳しいことは、エイドリアン・スライウォツキーにでも聞けば良い。もっとも、それなりのお金が必要だろうが。

今日は哲学者ではなく経営コンサルタントのブログになってしまった。それどころか、まだ、哲学者としてのブログを書いていないような気がしてきた。そうだね、今の時代は哲学者もマーケティングがうまくないと生きて行けないからね。そのうち哲学についても書きますよ。