白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

食品偽装と偽装報道のグレー風味

2週間ほど地球を離れていたが、日本のマスコミではホテルやら何やらの食品偽装問題が話題になっているようだ。某ホテルでは社長が辞任。しかし、マスコミの報道は「誤表示」で統一されている。そして、ワイドショーとやらでは「誤表示」か「偽装」かという無意味な議論が繰り広げられている。そこには、この問題が犯罪かどうかは微妙ということにしたい、という強い意思が感じられる。マスメディアは「この問題はグレーだ」という世論を作りたいのだろう。見え透いている。

問題は食品である。これが薬品だったらどうなるのか。たかが食べ物、口に入れば同じという意識でもあるのだろうか。それが当該企業の、そして日本の食文化の程度ということだ。

レストランでの偽装、報道も偽装、そして次は、解釈改憲とやらで日本国憲法も偽装化するらしい。そのうち、偽装天国日本が世界の話題となって、経済が活性化するという作戦でもないようだ。偽装は習性化する。一度やったらやめられない。困ったことだが麻薬と同じである。日本文化は、いつのまにここまで堕落し、衰退したのだろう。

「偽装は犯罪です」

マスメディアは明確にそういうメッセージを出すべきだ。それができないマスメディアとはいったい何なのか。完全に腐っていると感じるのは私だけではないだろう。

それにしても、なぜこの時期に次々と食品偽装問題が出てくるのか。それは重要な法案についての報道を少なくするためだろう。事件そのものが偽装である疑いもある、と書くと陰謀論者のようなので控えるが。

騙されてはいけない。黒は黒であってグレーではない。偽装は偽装であってプロセスは関係ない。プロセスが関係するのは裁判においてだ。「偽装」を「誤表示」と言い換えるのは「戦争」を「積極的平和」というのと同じことだ。

偽装。これを日本のトレンドにするのだけはやめて欲しい。ましてや、国際語にして「ギソー」平和憲法などと揶揄されないように。偽装名人(偽装の名人、あるいは名人を偽装)といわれないように。いや、私は化粧をするなと言っているのではない。世の中には許される偽装もある。多分ある。きっとある。いや、あらねばならぬ???