白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

仕事における専門性、創造性、面白さ

私は労働という言葉が嫌いだ。労働というのは指示に従う作業だ。仕事は自発的で主体的なものであり、そこにはやりがいがある。報酬がなければ誰もやろうとしないのが労働。仕事とは自らの分身だ。賃労働という形態は同じだとしても、すべてを労働者として一様に捉えるわけにはいかない。これは社会学の常識だ。

 

このブログは、ブログ村の「経済学」に登録してある。特に決まりはないが、経済的なことを少し書いてみよう。

 

もしも日本が富裕層の国だったら。すべての国民が20億円の貯金を持っていたら、労働力市場はどう変わるだろうか。もちろん、一生働かなくても普通の生活は出来ると予測する。そうなった時に、誰がどんな仕事を目指すのか。それとも、誰も働かなくなり、労働力を外国人に依存することになるのか。

 

少なくとも、仕事が生活の糧ではなくなる。うむ、だんだん次世代文明になってきた。それでも医者や政治家、大学教授にはステータスがある。一流の職人もプライドを持って働く。企業経営者も経済ゲームを楽しむだろう。官僚にはエスタブリッシュメントとしての誇りがある。エンジニアや研究者には夢がある。そうすると、単純オペレーションのような仕事をする人が減るとも考えられる。しかし、そうでもないのではないかと私は思う。

 

例えばマクドナルドのアルバイト。私は経験がないが、ゲーム感覚でやれば友達ができて楽しいかもしれない。タクシードライバーもゲームの要素を取り入れれば楽しめそうだ。とにかく、仕事をする必要がないからと言って、一日家でネットをしている訳にもいかないだろう。

 

この議論、通貨供給量が増えたらインフレになって、20億円なんて価値がなくなりますよと言ってしまうと身も蓋もない。事はそんなに単純ではないのだ。為替レートが何によって動くのか。資本、商品、労働力の移動などがあるから、ハイパーインフレにはならないと仮定しておこう。

 

現在、デフレ対策などと言っておきながら、総賃金がどんどん減少しているなどというのは、財界の頭がおかしいか、何かの陰謀だろう。私は過去に頭がおかしいと書いたが、それは誤りで、陰謀だと考えるようになった。

 

つまり、安価な賃金でも働かざるを得ない労働力が大量に欲しいのだ。例えば、介護、外食、流通、生産。そういう低賃金層が増えればデフレになるのは織り込み済み。そこで景気対策として大企業に金をばらまいたり、優遇処置を講じたりする。要は、口先とは真逆に格差社会を確固たるものにしようとしているのが、現在の日本の政策なのだ。

 

庶民が馬鹿なのだ。景気が良くなれば賃金が増えると思っている。世界経済の構造からして日本の景気が良くなる可能性はない。それでも政治家が景気対策というのは、そう言えば票がとれるからという理由でしかない。庶民はデフレを歓迎するべきなのである。

 

小泉政権以降、貧困層を増やして労働力を強化するという基本政策は変わっていない。貧困線が下がりながらも、貧困率が増加しているという異常事態。守られているのは、政官財学の利権連合であり、それ以外は切り捨てだ。まあ、完全には切り捨てない。緩く守るところは緩く守る。そうでないと選挙に勝てない。

 

おお、テーマは「仕事における専門性、創造性、面白さ」だったか。まあ、専門性と創造性はエリートの世界だな。もう、仕事者と労働者に二分して考えてしまって良いのかもしれない。どの仕事、どの職種と特定すると差し障りがあるし、仕事者にも労働的側面があり、労働者にも仕事的側面があるかもしれないが、先進国最低水準の最低時給だけは何とかしないと、これは生存権に関わる問題だ。

 

それと、ブラック企業は問題外だな。仕事と労働には共に面白さがないといけない。そのように業務を設計しないといけない。つまり、ゲーム的要素を盛り込むべきなのだ。

 

私のブログはメッセージが無いことが特徴なのだが、今日はメッセージのようなものを書いてみよう。

 

1.若者は貧困線が見えてきたら海外脱出を考えよう。

  アジアがお勧めだ。インド、中国、ベトナム、マレーシアなど。

2.老人は早く引退して若者の仕事を奪うのをやめよう。

  最近では65歳かと思ったら定年延長70歳が検討されているとか。

  貧しい年金暮らしが嫌なら海外脱出を考えよう。

  豊かな老人は働かないのが美徳

3.ニート(35歳以下に限定せず)の居場所を作ろう

  労働でも教育でもない、第3の場所。

  地域に根差した安価なサロン。コミュニティ作りだ。

 

最初の話に戻る。誰もが20億円持っていたら。それでも医者や政治家、研究者を目指す人は減らない。野球選手もサッカー選手も減らない。(減るかな・・・笑)小説を書くのをやめる作家もいない。(いるかな・・・笑)ハングリー精神、なにそれ意味がわからない。結局、労働は外国人にまかせ、日本人だけが仕事をするという差別社会になるのだろう。なんだ、ヨーロッパの移民問題と似すぎているじゃないか。

 

何が言いたいのか。根本的に重要なのは豊かになることではなく社会の制度とシステムが安定することだということ。注目すべきは、どこで貧困線が反転するかだ。10年は難しいか。(涙)