白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

生存権の問題としての最低賃金

 

重要な問題は、繰り返し書いた方が良いだろう。それに、もうすぐ選挙だ。野党連合は戦争法などではなく、争点を生存権としての最低賃金に絞るのが良いだろう。まずは、最低時給を全国一律に1000円にする。そして、年に100円ずつ上げて、最終的に1500円にする。

 

これ無謀な数字ではない。昨日、最低賃金の国際比較に関する良い資料を見つけた。日本は国連から何度も叱られているのだ。

 

saigaijyouhou.com

 

 

最低賃金を上げたら潰れる企業が出るという。潰れたらよろしい。それが資本主義の長所だとドラッカーも言っていたではないか。

 

最低賃金を上げたらインフレになるという人がいる。いまデフレ脱却に苦しんでいるのだ。ちょうど良いではないか。

 

そもそも、生存権を満たさない最低賃金がおかしいのだ。厚労省は、それを計算して出した数字だというが、計算の前提がイカレテいるのだ。お話しにならない。これについては、以前「生活保護から最低時給を考える」に書いた通りだ。

 

生活保護から最低時給を考える。 - 次世代文明研究所@白井京月

 

なお、日本の生活保護受給率がOECD諸国に比べ格段に低いことも常識だ。貧困層生活保護をたたく前に、自分の給料を上げればよい。それには、最低時給の改善は効果がある。

 

もっとも、経営側も雇用ではなく委託にするとか、障害者就労継続B型の事業所を使うとか、外国人の研修制度を使うなど、手を変え、品を変え、安い労働力を求めるだろう。この辺は労働基準監督署の権限強化と増員が必要だ。ブラック企業を排除すること。これは倫理の問題だ。

 

生存権憲法25条に示されているが、健康で文化的な生活とは、衣食住だけでなく、通信や娯楽も入る。この解釈は社会通念によるという最高裁判決もある。

 

貧困の問題は労働だけでなく家族とも密接に関係する。お一人様、孤立化が進行しているからだ。この点では日本は世界のトップを走っていると、ある社会学者は皮肉っていた。家族の諸相。これについては、改めて書くこととしたい。

 

ああ、文明の文法を解体せよ、ね。

 

1.雇用を守るな。生存権を守れ。

 

最低賃金の話を書いたが、これからは雇用が減る。ナノコープの世紀になる。これについては、以前、こんなエントリーを書いた。

 

d.hatena.ne.jp

 

もう、雇用創出なんて言っている時代じゃないということ。そんな文法は解体だ。