白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

格差分断社会の到来

格差が問題とされることがある。格差是正。機会平等。公平。

 

無理でしょ。大金持ちから税金取るの。教育格差でも金持ちは私立に行くでしょ。だいたい親の文化資本が違う。環境が違う。機会平等は形式論に過ぎない。機会平等でも能力や個性に差があるから、格差是正などという効果はない。

 

貧困問題は深刻だ。そこには数字のトリックもある。貧困線は等価可処分所得の半分だが、等価可処分所得が500万円の時は250万円、これが400万円に下がると200万円になるのだ。相対貧困率という考え方だから仕方ないのだが、それでも貧困率が上昇している日本は極めて異常なのである。精緻ではあるものの複雑奇怪さを増す社会保障制度が重大な課題であることは言うまでもない。

 

さて、タイトルを「格差分断社会の到来」としたが、これはSF的なシナリオである。背景には必要の無い労働を低賃金で行わないと富を配分できない現行システムの大問題がある。これが解決できればノーベル賞だろう。そこで、理想とする格差分断社会へのシナリオを簡単に整理してみた。

 

1.民法等の改正

  世帯という考え方を改め、税制等、すべて個人単位にする。

2.賃上げ

  最低賃金を大企業並み以上にする。

  潰れる企業は潰れて良し。

  失業者は増えるが、労働者の賃金は上がるが、税負担等は増える。

3.社会保障改革

  年間所得200万円以下の人には、差額分を加算した、ベーシック・プリペイド

  カードを毎月15万円分発行する。このカードは外食チェーンやコンビニで使え

  るようにするが、換金、売買は禁止する。

  ※生活保護も吸収する。医療費扶助は別途検討課題。

4.格差分断社会の到来

  年間可処分所得1000万円程度の層と、200万円程度の層に完全に分かれる。

  中間層は下の層に吸収される。

  交際範囲は勿論、着るもの、食べるもの、世界観、価値観が異なる。

5.結論

  格差分断社会は悪くない。むしろ快適なのではないのか。

  格差は歴然とあるのに、それを無くそうというのに無理があった。

  200万円で文化的に暮らせるかだが、大きいデフレ市場が出来るので問題ない。

  現在の社会保障は家族制度を主体としているので、生活保護を受けるために離婚

  するなど、不合理な面が多い。医療費控除など、医療利権化している。その他、

  社会福祉法人は多くの不透明な問題を抱えている。

 

これは失業率を増やし、ワキングプアを無くし、ブラック企業を撤退させ、生活保護受給者を増やそうという政策である。その代わりに働く人の賃金を大幅アップさせ、税負担も増やす。実施に当たっては膨大なプロジェクト予算が必要になるだろうが、これは喫緊の課題である。

 

「目指せ!格差分断社会」

貧困層は毎日が楽しいぞ。コーヒー1杯10円の福祉サロンで毎日ゲーム」

「いや、こんどのプロジェクト楽しいよね。この雲丹、上手いね」

格差分断社会は能力と希望で格差間の移動も可能だ。理想的じゃないか?