白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

異次元の貧困

2年ほど前、私は、1日2000円を貧困と書いて顰蹙をかった。そして今、私は1日800円の貧困に追いつめられている。

「1日800円は無理です」

「大丈夫です。私なんて1日0円の日があります」

「昨日もハイボールを3本飲みました。タバコは2箱です。このままでは、8月15日の年金支給日より大幅に前に、残高がゼロになります」

「一緒に考えましょう。幸いなことにカップ麺の在庫が30個ある」

「いえ、もう30個しかないんです」

「まずは栄養です。ここでお昼のお弁当400円を固定しましょう」

「タバコとハイボールは」

「まあ、やめろとは言いません。夕食は在庫のカップ麺にしましょう。そうすれば、1日400円余ります」

「コーヒーのペット1L、140円は外せません」

「そうですか。では食パン110円とコーヒー140円も固定で良いでしょう。それでも150円余ります。この余ったお金を貯めて、ハイボールやタバコを買ってください」

「うーん、無理ですよ」

「なら一層、タバコとハイボールとコーヒーを固定にして、食事をカップ麺だけにしますか」

「画期的。しかし、カップ麺が20個足りないですね」

ふむ。これが、PSW&FPとの会話。貧困が深刻なのに、昔のようにパニックにならないのは慣れというか経験なのだろうか。

いっそう、光熱費、スマホ代の延滞という裏ワザもあると意見したのだが、それは裏ワザとは言わないと却下された。

貧困の当事者研究も楽ではない。いっそ、自炊という領域を開拓するか。ここまで追い詰められても焦りがない。神経がいかれている気がする。最後のセーフティネットの中にいてこれだ。やはり、情報とスキルが重要なのだ。

余談だが、私は締まりの無い顔と言われた。きっと締まりが無いからだろう。お金の無い夏。何かが動きだす。