白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

貧乏でも楽しく生きられます

55歳のMさん。女性。生れてから一貫して貧乏だったという。しかし、友達は多く、教養に溢れ、料理が得意。今は猫との暮らしが楽しくて仕方ないそうだ。

Mさんははっきり言う。

「貧乏でも楽しく生きられます」

とにかく、日常の中に楽しみを見つけることだと。

お金を使う楽しみしか知らない人は、貧乏になると苦労する。私がそうだった。もしもいま、お金が入っても、昔のような遊びはしないだろう。

貧困は社会の怠慢だが、社会変革は難しい。貧困の中で楽しく生きる術を身に着けるというのも有りだろう。それに、貧困でなくても、楽しく生きていない人は、いくらでもいる。精神的に豊かな貧困世界というのも、現実にあるのだ。

私は無一文になって足掻いている時に、Mさんから宅急便で食料を支援してもらった。

Mさんは言う。一人で楽しむより、二人、三人で楽しんだ方が喜びが大きくなると。

誰かに喜んでっもらいたい。その気持ちが出発点だ。利他的とも通じる。貧困世界は、ある意味で豊かだったりする。他者の痛みが分かるから、私たちは優しくなれる。