白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

俺は破滅に成功した

ナオミが悪い。ナオミは俺に「貴方は破滅型じゃない」と言った。なぜか、とてもムカついた。よし、破滅してやろうじゃないか。俺は強く決意した。心に火がついたのだ。

家を売った。会社を辞めた。離婚した。退職金で豪遊した。そして、あり得ない発病。仕事はするなと言われた。あっさりと自己破産。破滅である。それから5年、破滅は続いている。収入は障害年金だけ。年間200万円以下で暮らしているのである。

昨日、U氏に言われた。破滅に成功してるじゃないですか。一瞬、嬉しかった。しかし、喜べることではないと後で気が付いた。破滅は美しくないどころか、惨めで苦しいものだ。ナオミが悪い。

U氏は、あとは永久入院して死んで完成ですと述べた。それを聞いていたM氏は怒った。死ぬまでにどれだけの時間があるのか、と。

U氏は悪い人で、M氏は良い人だと思った。もちろん、一番悪いのはナオミだが。

ああ、入院ね。主治医が紹介状を書かないと言ったので、没になった。考えないといけないな、新しい入院先を。困った主治医だな。俺はU氏のプランで良いんだよ。後は永久入院して死を待つ。廃人は街を歩くのが辛いんだ。

でもね、思うんだ。いま、会社に残っていれば幸せだったかなってね。幸せって何だろう。やっぱり、家族じゃないかなってね。

陳腐だな。俺は英雄を目指そう。精神障害者世界からの突撃だ。目を覚ませ。文明の文法を解体せよ。