白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

精神障害者世界の現在

私は今まで、粗雑な考えをしていたことを反省しないといけない。

精神障害者精神障害者世界を生きるか、一般世界を生きるかの二者択一で考えていた。しかし、現実にはもっとうまい精神障害者世界の利用方があるようだ。日本の福祉は就労主義でいびつだが、最悪とは言えない。決められた枠組みの中で、高邁な理念を掲げ、理想を持って頑張っている事業者もある。もちろん、過半数は制度の要件を満たしたうえで利益が出れば良いという、福祉の根っ子を持たない事業者だろう。これを私は厚労省利権だと感じるが、証拠不十分なので、いや、闇が深いので手が出せない。私はジャーナリストではないのだ。

さて、具体的な話をしよう。障害者就労、障害者就労支援、障害者就労継続A型、障害者就労継続B型。各制度の詳細は、ハローワークか障害者就労センターなどで聞いて欲しい。私は経験談を話す。

私は50歳まで一部上場企業にいた。子会社で、システム・エンジニアやプロジェクト・マネージャーをやり、課長という立場だった。当時より能力は落ちているだろう。しかし、どこへ行けと言うのだ。就労支援など教える側だろう。A型は最低賃金であり勤労意欲が湧かない。B型は行った。体調を整えると言う名目で、2015年にI社と契約した。HTMLの自習という不思議な仕事だった。その後、小説を書くのが仕事になった。これは楽しかったのだが、躁転してパーになった。2016年にI社をやめた。

B型の多くは軽作業である。私には向かないと思っていたが、2019年7月P社と契約した。理由は成り行きとしか言いようがない。精神障害者世界に浸っていた私に波が来たのだ。まあ、居心地のいい場所で、1年間体調を調整できれば、というのが今の思いである。工賃は少ない。しかし、昼食は100円だ。こういうところまで制度化してあるのが日本の福祉だ。いろいろな世界があるのだ。

就労以外で機能しているのは、地域活動支援センター(通称、地活)だろう。障害者の数%の利用者のために、それなりに大きな予算が社会保障費から助成金として支給される。ここは、それぞれに特色があるが、概ね1ケ月のプログラムが決まっていて、OT(作業療法)のようなことをやる。しかし、それは表面で、裏面は利用者のサロンである。お金は、ほとんどかからない。地活に馴染めた人は運が良いと言えると思う。

まあ、書きだすときりがないのだが、障害者は従順になることなく、主体的に制度を利用するべきだろう。無理をしてはいけない。面白くなければ辞めればいいのだ。

この辺りの世界のことについては、ひどい話をたくさん聞く。ある意味で、障害者就労関連の経済システムは、日本経済の恥部と言えるかもしれない。

障害者を安価な労働力とする考え方は根強い。しかし、冒頭に書いたように、福祉を真剣に考えて頑張っている事業者もある。それは、障害者自身が選別するしかない。押し付けは拒否しよう。主体性を発揮しよう。目的を明確にしよう。

障害者だけが集まって暮らすというのも悪くない。しかし、障害者でも一般世界で暮らしている人がいる。どちらがいいとは言わない。自分らしさが発揮できているかどうかが問題だ。

これから、制度がどう変わるかはわからない。良いネットワークを持とう。それが、最高のセーフティーネットになるのだから。