白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

徘徊老人問題

私はマンションの一人住まいなのだが、となりも一人住まいだ。それも認知症の老人だ。夜になると、私の家のノブをガタガタさせる。この前も警察を呼んだが、今日も呼んだ。1階のエントランスをうろうろしていたらしい。警察に連れられて、家に入って行った。

保護できないのか警察に聞いたら、家に帰れるから大丈夫だという。そんなところなのだろう、憐れなのは老人だ。

頻繁に親戚やヘルパーが出入しているようだが、どういう事情か一人暮らし。珍しくないケースなのだと思う。

末路。他人事ではない。私も家族がいないのだ。

すっかり目が覚めてしまった。

日本では、一人暮らしにした方が生活保護が認められやすい。そこで、生活に困ると、いらない者は一人暮らしにさせられるのだ。歪だと思うが、そういう制度なのだから仕方ない。生活保護になれば、食べることは出来るし、医療費もかからない。一つの安全な着地点だ。

しかし、認知症となると話は変わってくる。認知症の程度にもよるが、かなり厳しいものがある。私も、精神病院入院時に認知症患者を見ているが、それは大変だった。毎朝、会社へ行くから出口を教えろと看護師に迫るのだ。ここがどこがわかりますか。看護師がそう返しても、どこなのかが分からない。

全国に、そういう人のための施設が多数ある。しかし、全然足りていない。施設難民は大変なのだ。

肥大化する福祉業界。追いつかない供給。社会は今日もドタバタしている。いちいち報道されないだけで。