白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

エッセイ(平成)

ダダイズムからグダグダイズムへ

はて、文明の文法を解体せよとの指令を受けた訳だが、具体的に何をすれば良いのかが未だに分かっていない。ポストモダンは近代的な個人も国家も解体できなかった。結局は、哲学や文学あるいは社会学の内側での話であって、現実世界の文明の文法は揺らいでは…

アクセス解析の現在

このブログのアクセス解析結果は以下の通りです。 (2016/03/08 JST) Google からよくアクセスされているページ 19% ブログトップ 8% 7.新興心理学批判 5% コミュニティ性とクラスタ性の関係についての考察 3% 人生のテンプレート 3% 日本の人口推移から…

生活保護から最低時給を考える。

最低賃金と生活保護費の逆転現象。よく言われることだがピンと来ない。単純に計算するとこうなるからだ。 生活保護、月額13万5千円。(うち、4万5千円が住宅扶助)医療費免除。 最低賃金の算定方法。1日6時間、週4日。月間100時間。 少なくとも、…

精神科医療とは何か

ある人から、「患者から見た精神科医療への疑問」を書いて欲しいと言われた。数多くの事例を調査したわけではないが、10年を超える病歴と入院歴、多くの病院や医者を見てきたという点で、一般の人より詳しいとは言える。今日は精神科医療という独特の世界…

SNSの光と影

SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)は、すっかり一般化した。今では中高年でもスマートフォンを使ってfacebookをしている。それはまるで新しい通信・コミュニケーションの標準であるかのようだ。一方、業界ではソーシャル・メディア・マーケティ…

「次世代文明の誕生」初版の行方

つい先日、「次世代文明の誕生(銀河版)」が印刷会社から送られてきた。段ボール2函。表紙も背表紙も決まっている。私はニヤリと笑った。 そして、「はじめに」という1ページを読んで焦った。何と誤表記など気に入らない部分が5ケ所もある。しかし、「善…

動植物と「衣・食・住」

10年ほど前、ミチヲという女性小学校教諭、というよりも明るいネーちゃんが、「衣類・食・住は人間としての基本。それができていない人は問題外」と言っていたのが印象に残っている。これは、ミチヲのご両親の言葉のようで、家庭教育の重要性と、影響力の…

「健全な従属」と「野心」

■民主主義の特性 A.トクヴィルの大著「アメリカのデモクラシー」が出版されたのが1835年。これは近代民主主義思想を書いた必読の古典である。アメリカを旅したトクヴィルの鋭い観察と洞察は、その後の民主主義社会を的確に予見したものであり、数多く…

科学という神話

■科学とイメージ 現代人の多くは科学は重要であると信じているし、さらなる発展を望んでいるように見える。なお、ここでいう科学とは自然科学のことであり、社会科学、人文科学は含まない。そういえば昭和の時代には「思想の科学」という雑誌があったが、科…

欲望進化論

■欲望と欲求 その昔、人間を「本能の壊れた動物」と定義した人がいた。人間以外の動物は本能で行動しており、欲求はあっても欲望はないとされていた。そして、人間だけが欲望を持つのは言語を獲得したからだと。つまり、人間においては欲求と欲望を区別する…

情報は知識ではない

■情報と知識の関係 誰もがインターネットで大量の情報を扱える時代になった。しかし、これが人々の知識の向上に直接結びつくことはない。いかに大量の情報を収集しても、情報と知識は異なるからだ。 情報とは単なる事実(あるいは記述)である。これを知識に…

権力・システム・生活

■歴史を見る眼・社会を見る眼 学校で習う歴史あるいは社会は、伝統的に権力の変遷であり、社会システムの変遷だ。もちろん文化についても学ぶが、一般人の生活の変遷を深く学ぶことはない。それを知るには、大学でのマニアックな専門で学ぶか、本を読むしか…

アイデンティティという虚構

■自己もアイデンティティも虚構である。 ある脳科学者は「自分という主体意識は脳が作り出す仮想でしかない」と言う。いまの科学ではそれしか言えない。反論するためには、霊なり魂の存在を証明する必要がある。自己は仮想に過ぎない。科学的にはその通りだ…

認識の欠落と非対称性-次世代と旧世代

■文明の文法、時代の文法 文明の文法は強固で揺るぎのない性質を持つ。一方、時代の文法は流動的であり、一時的なものだ。民主主義、自由、人権、進歩などの語彙は文明の文法に属しているし、ゆるキャラやAKBは時代の文法に属している。 いままさに、文明…

知性は重要か? -人間、昆虫、ロボット

■生物化するコンピュータ つい先日、書店で興味深い本を見つけて思わず買ってしまった。それがこの本だ。 生物化するコンピュータ 作者: デニス・シャシャ,キャシー・ラゼール,佐藤利恵 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/09/19 メディア: 単行本 この商…

価格と賃金の経済理論

■はじめに これから書く記事は、現実を知っている人にとっては常識に過ぎない。しかし、テレビや新聞、雑誌や過去の経済学の知識や情報を鵜呑みにしている人にとっては、常識が逆転するかもしれない。もっとも、一般に流布している経済の見方が無意味なもの…

政治と経済のブロック化

■はじめに 安倍政権の発足以来、日本は戦争への道を着実に進めているように見受けられる。NHKはじめマスコミを支配し、言論・表現の自由を制限するとともに、大企業や宗教界とも緊密な関係を築いた。解釈改憲、秘密保護法、集団的自衛権など、もはや独裁…

日本はブルーオーシャン国家を目指せ

■ブルーオーシャン国家とは何か 有名な経営戦略の一つにブルーオーシャン戦略がある。この戦略は、独自の市場を発見、創造するとともに、競合が参入できない状況を作るというものだ。現在の日本は、未だに経済大国、技術立国に未練を持っている。さらには国…

グダグダする時間と時代の針

■グダグダする時間の地位 一昔前は「家族や友達とグダグダする時間」など無駄でしかないので、そういう時間の使い方はやめて「生産的」なことをするべきだという考え方が支配的だった。余暇時間の拡大というスローガンはあったが、それが意味したのは消費行…

次世代文明へのシナリオ

■激変した資本主義のシステム 1990年代、従来の世界経済の基本システム、つまり資本が利潤を生むというメカニズムは崩壊の危機にあった。それを救ったのが金融工学とIT革命だ。高度な数学を用いた金融商品を開発することで、アメリカの、そして世界の…

生物学的反人生論

現代の日本社会が、政官財学の利権ネットワーク(左翼はこれをマフィア連合と呼ぶらしい・・・笑)によって完全に支配されていることはいうまでもない。現代における支配の特徴は、法律的には自由を与えながらも、情動系にアタックする情報刺激を大量に与え…

ニートのための10章

これからの時代を作るのはエリートではなくニートかもしれない。厚生労働省の調査によると、35歳未満のニート(働いていない+教育機関に行っていない)の数は70万人とされる。35歳という定義に特に意味はない。実態として、日本のニートの数は150…

現代日本のクレイジーな価値観

成果、成長、成功。そんなものが好きな人は勝手に頑張ればいい。誰もが上昇志向をもつべきだというのは、とんでもなく歪んだ考え方だと思う。そういう固定観念を当然のものと勘違いして、多くの人が意味のない努力をし、意味のない消費をし、そして傷つき、…

次世代文明研究所

私の根源的な関心は、100年後、200年後の次世代文明にある。それを予測すること、そしてより良い文明を構想すること。この誇大妄想的な意思をベースに、ここ10年以上、いろいろなインプットとアウトプットを繰り返してきた。もっとも、それは乱雑な…

人生のテンプレート

失われた20年より前の時代、ほとんどの人は数通りの人生のテンプレートに従って、サラリーマンや公務員、医者や教師などになることができました。それは、ある程度の幸福を約束するもので、うまくテンプレートを活用すれば、8割方の成功が約束されている…

次世代文明を考える

ドラッカーは10年以上前から「文明の分水嶺」という言葉を使っていた。この分水嶺が何十年になるのかは後世の歴史家が決めることだろうが、未だに新しい文明の形を明確に予測できる人はいない。もしも、確信を持ってその全体図を語る人がいるならば、それ…