白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

現代日本のクレイジーな価値観

成果、成長、成功。そんなものが好きな人は勝手に頑張ればいい。誰もが上昇志向をもつべきだというのは、とんでもなく歪んだ考え方だと思う。そういう固定観念を当然のものと勘違いして、多くの人が意味のない努力をし、意味のない消費をし、そして傷つき、挫折し、最悪の場合には病んでしまう。

俺たちはもっと生きることの喜びを感じていたいんだ。 組織に入ると、ナンセンスな思想に洗脳されてしまう。社会構想は矛盾に満ちていて、悪のシステムに巻き込まれることに罪悪感を覚える。そういう人はニートになる可能性が高いが、ニートもそれほど楽ではない。よっぽどの自己管理能力がないと、生活が狂い、やがて破綻する。

とにかく現代日本はトンデモナイ価値観に支配され尽くしている。誰でも努力すれば成功すると信じている人がいる。無駄な努力はないと信じている人がいる。有名人や成功者の言葉を無条件にありがたがる。弱者を慰めるだけの自己啓発本が次々と発売される。心理学や脳科学が通俗化してあほらしい人生論として流通している。なんでもかんでもがスキルの問題とされる。たとえばコミュニケーション。こんなものにスキルなどいらない。不自然なスキルを用いるから、スキルを用いないといけないと思うから、コミュニケーション障害が発生するのだ。いまでは感動や元気が商品化され大安売り中だ。そういうものもシェアして、いいねして、共感しないとKYと言われて排除される。いったいどこまで従順で卑屈な国民なのかと、唖然とするしかない。

さあ、こんなバカバカしい言説をシャワーのように浴びて洗脳されている方々よ。そろそろ目を覚ました方が良い。そうでないと、人生を棒にふるだけだ。

ハッキリ言って、現代日本社会はその基本構造がクレイジーなのだ。特定のパーソナリティー、特定の生活様式を規範とし、経済成長という国是のために尽くすことだけが求められている。人間らしい生活は失われ、人間らしさについて考えることも無くなっている。いったい何のための社会なのか。いまの日本は、悪い方向に向かって疾走しているのだ。

かといって政治的な活動をすることも無意味だろう。まあ、どう生きようが自由なのだが、根っこのところで、マスメディアの称揚するクレイジーな価値観から自由でいることが重要だ。

現代マーケティングの先端技術は非言語の情報シャワーで潜在意識にアタックする。自己防衛も簡単ではなく、注意深さは欠かせない。平和なようで危険な社会。これも洗脳、あれも洗脳。正気に戻れば生き方が変わる。それには、宗教も心理学も哲学もいらない。自然な思考力を働かせるだけで十分だ。そうすれば、新しい世界が見えるに違いない。