白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

定年退職5年目にして思うこと

あまりにも波乱万丈の5年だった。

 

入院3回。警察にお世話になること2回。離婚1回。転居2回。通った病院は歯科を含めると11件。抜いた歯の数は数えていないが、残っている歯は1本。退職金をすべて失い、離婚して家族を失い、母とは絶縁状態となり、多くの友達と信用を失い、体力を失い、知能を失い、本を含めて資産性のあるものをすべて処分するように命じられ実行し、障害者手帳を取得し、一般世界の住人から障害者世界の住人になった。日本の福祉システムの厚みと精巧さを肌で知った。

 

敗因はすでに総括済みなので省略する。まあ、そんなものは解釈に過ぎないのだが、他責にするならば医者運が悪かったに尽きる。寛解解離性障害になったのに薬が貰えず、悪徳病院に転院した。運命はそこで決まった。

 

会社を早期退職したことに後悔はない。結果として敗者となったが、一度は野性の世界で生きたのだ。起業したのだ。ただ、失敗しただけだ。よくある話ではないか。

 

幸運だったのは、去年の10月に信頼できる医師と巡り合い、転院したことだ。それからは病状も安定に向かっている。あと1年、おとなしくする。それが基本方針だ。

 

成果は2冊の本を出版したこと。「ロバート劇場」と「次世代文明の誕生」だ。これも在庫がなければ、増刷するお金もない。アマゾンで構築した販売システムも失った。まあ、失敗は成功の母だ。まだチャンスはあると思っている。

 

もう、昔のようなポテンシャルはない。それでも何とかこうして生きている。1日3食まともに食べるお金もないのだが、4個100円のバターロールが夕食でも平気になった。去年はお金が底を尽きパニックになったが、今年はきっと大丈夫だ。何が違うって、主治医が違う。はっきり言って、私はずっとヤブ医者にかかっていたのだ。

 

これから。医師は診断書に「日常生活にも支援を要し、就労は不可能」と書いた。私も、雇用という形で働くことは想定していない。自営業あるいはフリーランスも難しいだろう。自称作家、自称詩人として、ただ書くこと。それに専念したい。いまは、長編小説を書いている。締切は3月末だ。スピードを上げないといけない。

 

この5年で一番嬉しかったこと。それは、離婚せざるを得なくなった時に、妻子が来てくれて喫茶店で会ったことだ。長い別居生活だった。夫として、父親としての役割を果たしていなかった。それでも、お別れの会があったということは、一つの救いだった。

 

いろいろな批判やアドバイスを貰うのだが、障害者世界、貧困世界で生きて行くことができれば、それは大きな自信につながると思う。

 

思えば、会社員時代は自分のことを考える必要がなかった。企業という大きな船の中で暮らしていればよかった。だから、世界に目を向け、いろいろと考えて論文を書き、発表できた。今は自分のことに精一杯で、詩を書く余裕すらないのだ。この状況は改善しないといけない。

 

次世代文明研究所。精神科医によっては、誇大妄想だと言うだろう。それでよし。そこが私の足場なのだ。ブレてはいけない。