宇宙人会議2013(小説)
13.一年後 2013年度の宇宙人会議が終わり、ヒロが宇宙へ旅立ち、ミカが秘書の頭に妖精ちゃんを見つけたところで、この物語は終わりだった。しかし、読者からの苦情が相次いだ。ヒロはその後どうなったのか。中途半端な終わり方だ。続きを書け。こうい…
12.夕焼け ビルトワールド会議は最終日、3日目の朝を迎えていた。午前10時。緑の壇上には満面の笑みのホノニニギ議長と、なぜかブタマルが座っている。ミカはインターネット上を駆け巡る情報を追いかけて混乱していた。世界中で銀行口座の凍結合戦が始…
11.出発 午後6時。緑に飾られた壇上には、28人の宇宙船乗り組みメンバーが、記念撮影でもするかのように椅子に座っている。ヒロは会場に目をやった。ミカがいる。ケリー夫妻とマルゴーがいる。ざわめく場内。ヒロは自分の意識をマイクロ蝶に移植したら…
10.選択 1時間が過ぎた。ヒロとミカは会場に戻った。会場はまだ閑散としていた。ケリーがマルゴーを連れてヒロの席にやって来た。「宇宙船に乗るんだってね」ケリーは言った。「どうして知っているんだ?」ヒロは驚くでもなく言った。「ヒロの意識と僕の…
9.対話 会議二日目の朝9時50分。ヒロとミカは前日と同じように会場で隣同士に座っていた。予定では10時から経済パネルなのだが、主役のポール博士の姿がない。壇上にはすでにサルゴン議長とヴェーダ博士、そしてホノニニギ博士が座っている。そして、…
8.事件一日目の夜には盛大なパーティーが行われる。オーケストラの演奏、豪華な食事、そしてダンス。しかし、この会場にヴェーダ博士の一行はいない。何やら外で祭りのようなことをしている。ヒロはパーティーよりも祭りに興味を持ち会場を出た。ヴェーダ…
7.投票休憩が宣言されてから一時間が経過した。会場にゾロゾロと宇宙人が戻ってくる。ヒロはミカの隣に座った。「ミカはどっちに投票する?」「もちろん開示には賛成ね。なにしろ、サルゴン議長がそう言っているのだから逆らう手はないでしょ。それに、こ…
6.経済ゲーム1時間の休憩という宣言を聞いて、会場の宇宙人たちは外へと出て行く。ヒロは荷物を取りに席へと歩いた。ミカがいた。ミカは呆れた目でヒロを見つめていた。「まずかったかな」ヒロはそう言ってミカの反応を待った。「まあ、まず過ぎたと言っ…
5.宇宙交流パネル定刻の午後1時半を過ぎているのに、壇上には誰もいない。司会者が忙しく事務局の席の周辺を往来している。会場はにわかにざわついた。午後1時40分になって、ようやく6人のパネリストが壇上に座った。「遅くなってすいません。基調講…
4.楽園宇宙人会議は毎年、インド洋のど真ん中にある、アメリカ領ガルシア島で行われている。世間ではここは軍事基地としてのみ意味のある小さな島とされているが、事実は異なる。人工的に作られた浮かぶ島であり、自然の楽園でもあるのだ。宇宙人会議の一…
3.化学パネル化学パネルの基調講演を行うのはホノニニギ博士だ。しかもこの会議には初登場ということで、頬が紅潮している。「皆さんどうも。ホノニニギです。皆さんは、化学物質というと、農薬とか薬品の人体への影響を真っ先に考えられるかもしれません…
2.磁気嵐パネル「えへん」ヴェーダ博士がぼそぼそと喋り出す。「今話題の太陽における、すさまじい磁気竜巻の影響は本物の脅威であります。太陽風が地球磁気圏に吹きつける量は地球の歴史始まって以来最強です」「世間では11年周期などと呑気なことを言…
1.開会宣言「皆さんようこそ。2013年度ビルトワールド会議、通称、宇宙人会議で、こうして皆さんとお会い出来たことを、とても嬉しく思います。ご存じの通り、われらが奴隷であるヒトの技術進歩は加速し、宇宙開発も木星を超えるところまで来ました。…
このブログで、小説を書いてみることにしました。もっとも、FC2小説で発表している「宇宙人会議」に推敲を加えただけのものです。なぜ、いま、それを、ここに。それには言えない事情があるのです。 明後日より、平日に1日1章アップします。全15章の予…