白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

下部構造としての経済と情報

マルクスのいう「下部構造」とは社会の経済的構造であり、これは徐々にしか変化できないと考えられていた。しか、インターネット革命以降、情報構造もまた社会の下部構造であるとすれば、今のSNSの乱立と繁栄は下部構造の急激な変化だということができる。なお、「上部構造」とは法律的や政治的構造のことだ。現在は経済構造だけでなく情報構造が激変している。そういう時代を生きるなかで、情報そのものではなく、その流通構造を分析することには大きな意味がある。SNSを制する者が権力を握る。オバマの最初に大統領選は、まさにSNS戦略の勝利だとされている。

情報の流路を抑えることは勝利を意味する。googleやmicrosoft、Facebook、twitterは台頭した新しい権力そのものだ。助成金を貰い時間のある優秀な頭脳を持った多くの学者諸君が、いまこれらの研究に必死になっていることは言うまでもない。

だれでも情報を発信できる時代だって? 冗談ではない。一人の人間の影響力の差は100万倍より大きい。インフルエンサー(影響力を持つ人)になれるのは一握りのスターだけだ。メッセージの卓越性以上にリーチ(メッセージの到達人数)が必要になる。しかも、うまくターゲットとマッチする必要がある。

具体的に言えば、twitterで2000人前後の相互フォローで同質的なクラスターを形成しているようなケースでは、何を言っても影響力はゼロに等しい。そこには外部性が無いのだから、ただ身内で集まっているのと同じで、情報は閉じている。

もっとも、こんなことを書くと、「ならば、貴様はなんでこんなブログを書いているのかな?」という質問が想定される。俺はこう答える。

「絶望的な状況における最善の策は、より頑張ることだけだからだ」