白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

納豆にしませんか

「朝は納豆にしませんか」

 

精神科医は患者に言った。患者は毎日、喫茶店でモーニングを食べている。それでいて、生活が苦しいと言っている。節約と栄養。精神科医はそれらを考えて、アドバイスをした。

 

患者は唖然とした。長年の習慣をそう簡単には変えられない。それに、ご飯を炊かなくてはいけなくなる。そんな能力はない。それはヘルパーも認めるところだ。

 

それにしても精神科医療というのは不思議である。平然と生活に介入する。医者としては、いつもの事なのだろうが、介入された方は焦る。

 

納豆か。真剣に向き合っている私がいる。患者とは私のことだ。これから、この医者と付き合っていけるかどうか、ここが試金石のように思えてきた。納豆にしてみるか。ご飯はいらない。さあ、いつから。ヘルパーさんと相談だ。大胆に日常生活を変えたくなった。納豆か。納豆か。納豆か。

 

これはネタなのか。いや、大きな衝撃を受けたぞ。もっとじっくり話をしないと。

 

精神科医のアドバイスは納豆だった。心の中がベトベトになった。臭い。