白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

義理と人情の福祉システム

私が退職し、障害者になって区役所の生活支援課を訪れた時のことだ。私の過去の源泉徴収票を見て係長が叫んだ。凄い、局長より多い。

世間の風潮として福祉業界というと三流の人材で給料が安いというイメージがある。係長はこの考え方が許せない。福祉の人はみな情熱を持って仕事に取り組んでいるんです。馬鹿にしないで欲しい。舐めないで欲しい。そんなことを言っていました。

情熱を持った優秀な人が福祉業界を支えているのは事実でしょう。しかし、なかには飛んでもない奴もいます。私が経験したのは、就労継続支援B型の20代のサービス管理責任者。落ちこぼれのくせに威張ってるんですね。最悪でした。はい。辞めました。

さて、福祉の世界は基本、助成金ビジネスですね。官僚が作った精緻なシステムの上で動いている。しかも、給料が安いのは公然の事実。支援者のために利用者が尽くすという気持ちが義理として当然のように湧いてきますね。ガイドヘルプ、定期的にやります。B型、無理しても毎日行きます。ありがとうね、内緒で缶コーヒーくらいは普通にあるでしょう。

義理と人情の福祉システムです。私の知る障害者支援センター所長は、これぞ素晴らしい日本型福祉だと、真面目に主張していました。それならそれで、私は良いんです。

問題は状況が切迫してくると、依存と服従の福祉になってしまうことです。こうなると、利用者には自由も人権もなくなります。これが、ブラックな福祉です。

私はジャーナリストではないし、一介の福祉ユーザーですから、まだまだ知らないことも多いでしょう。しかし、だんだんと構図が見えてきました。

良い福祉もあれば、悪い福祉もある。福祉ユーザーは気を付けないといけません。それには、あくまでも、人間として対等な関係を維持することです。義理も人情も、ほどほどにです。なに、ズブズブが好きだ。勝手にしてください。私は知りません。