白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

夢も希望も無い方が良い

夢。希望。若い頃はたくさんあった。叶ったものもあれば、叶わなかったものもある。思えば50歳までは華やかな時代だった。結婚した。子供が出来た。家を買った。毎日銀座で飲んでいた時期もある。毎週、大阪で遊んだ時期もある。友達は、それだけ美味しい思いをしたのだから、あとは入院して死ぬのを待ちましょうと言われた。

少し前まで、夢はともかく希望はあった方が良いと考えていた。生きるにはモチベーションが必要だと思ったからだ。しかし、劣化した知能と肉体にとって、希望は重荷だと思うようになった。

昨日来た友人に「夢も希望も無い方が良いでしょ」と訊いてみた。

「無い方が良いでしょ」即答だった。

医者がどこまでマジで余命宣告をしたのか知らないが、まるっきり冗談ということはないだろう。ならば、あと9ケ月の命だ。淡々と日々をこなす。ただ、それだけだ。

老境とはそんなものではないのか。欲の塊のような老人もいるが、いつかはくたばるのだ。

今日もハイボールを飲んだ。幸せだ。