白井京月の研究室

経済学・社会学・政治学

精神疾患の治療手順

1.精神疾患概念

 今まで、二大精神病と言えば、躁うつ病と統合失調だったが、最近では、うつ病発達障害自閉症スペクトラム、アルコールや薬物の依存症、境界性人格障害サイコパス、知的障害など、どんどんと精神疾患概念が広がってきている。

 昔は、精神科の敷居は高かったが、今は「うつは心の風邪」という精神科業界関連キャンペーンの影響で患者は急増し、厚生労働省の定義によれば、日本には、約370万人の精神障害者がいるとされる。(2020年、現在)

 一方で、妄想、幻覚、幻聴が無ければ精神疾患ではないとする学者もいる。脳科学も未だ幼年期であり、精神科医療はオママゴトだと言った大学教授もいた。

 薬物療法は儲かるので、医療産業全体が薬物療法に偏り、精神療法や、精神病理学はすたれてしまったようだ。

 精神疾患概念は多様だ。なにを精神病とみるかは自分で決めれば良いのだ。精神科医の間ですら見解が分かれるのだから

 

2.精神科医療の根本的な誤り

 寝られません。鬱です。学校や会社に行きたくありません。

 はて、これが病気だろうか。私に言わせれば、これは普通のことだ。学校に行く、仕事に行くというのは社会通念の一つであり、そんなものが間違っているのだ。寝られなければ寝なければ良い。学校や会社など行かなくて良い。

 それを社会規範に適応させようとするのが、現在の精神科医療の考え方だ。私は、これが根本的な誤りだと言いたい。

 迷うことなく、家族の世話になるとか、障害年金をもらうとか、生活保護になるとかで良いのだ。しかし、患者本人が社会通念に毒されているので、限界まで社会規範にしがみつこうとする。

 反社会的行動は許されないし、妄想、幻覚、幻聴に薬は必要だろうが、維持薬は、多くの場合、必要ないというのが私の見解だ。それでは、自分らしさが無くなってしま。

 

3.精神疾患の治療手順(試論)

(1)まずは、精神の健康を取り戻すこと

 適応障害などの場合は、一時的にでも環境を変えるのが一番だ。薬物により太る、性的不能になる。内臓がやられる。筋弛緩など多数の副作用はある。また、薬で脳がダメージを受けるケースもある。これは最悪だ。

 治療目標は、自分らしさの回復だろう

(2)身体的回復

 薬物療法で傷んだ身体機能、身体能力の回復。これが第二段階だ。

(3)家族の再構築

 社会復帰(おかしな言葉だが)の前に、家族との関係性の再構築が重要になる。

(4)社会的回復

 就労を規範とする、いまの社会通念は狂っている。障害者にまで就労を目標に努力させる考え方は間違っている。勤労は、神聖なものとして美化されると共に、刑罰にもなる。そして、何よりも収入という形で格付けの道具となっている。この勤労観の超克こそが、精神科医療と福祉の大改革となるだろう。

 

4.終わりに

 私は、38歳の時に気分障害と診断された。躁うつ病とも非定型精神病とも診断された。それが、56歳の時に、統合失調感情障害に変わった。薬の影響だと思う。

 今、言えることは、一番大切なのは、今ココ。次が明日。その先は二の次だという考え方が重要だということではないだろうか。明日のために、今苦しむという考え方は間違っているような。

 とにかく、薬を飲むと人格が変わる。その人らしさがなくなる。社会の犠牲者になるのだ。

 この小文が、何かのヒントになれば、筆者として、これほど嬉しいことはない。

 

※本文は、2020年10月22日に、カクヨの狂った季節第15話の修正版です。

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