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あとがき

本書は次世代文明を予測するとともに、より良い世界を構想するという、誇大妄想的野心の一つのまとめである。私は在野の研究者を自称しているが、知識量において学者には到底及ばない。それを自覚しつつも、錯覚的な使命感とか、運命かのように、横断的、縦…

21.道化師の不在

いよいよ「カオスなコラム21」も、これが最後の記事だ。最後は道化師。私は20代で会社に入ったころ「土俵際の道化師」を自認していた。上司に平気で反抗して笑いをとること。それが私の喜びだった。実際に、お前はいま土俵際だぞ、と言った上司もいた。…

20.国家と雇用そして勤労の地平線

国家の伝統的な役割の一つに国民を食べさせること、近代以降は特に労働の機会を提供することがある。そのために雇用を確保するとともに国民には勤労の義務を課す。お金が必要で、働く機会があるのであれば働きなさいという訳だ。そして、国民の側もまた、政…

19.進化経済学の視座

「経済変動の進化理論」(慶應大学出版会、2007)という「進化経済学」の入門書を読んだ。以下はその簡単なメモである。 経済学を「進化理論」として捉えることの必要性とは何ななのか。それは、正統派経済学における経済変動の取り扱いが不適切であると…

18.生態人類学から見た未来予測

「ヒトはなぜヒトを食べたか」の筆者であるマーヴィン・ハリスが生態人類学の創始者なのかどうかは知らない。この本は石器時代から資本主義までを俯瞰した、詳細な研究と非凡な思考の結晶であり、発売当初は欧米でベストセラーとなった生態人類学の金字塔だ…

17.言葉はどこまで自由か

考えるとき、ヒトは言葉を使う。私の場合は日本語を使う。世間では自由な発想力、そして豊かな表現力が素晴らしいこととして称賛される。私もそれを素晴らしいと思う。ところで、自由な発想、自由な思考という場合に、いったいどこまで自由なのかという限界…

16.SNSの現在

SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)は、すっかり一般化した。今では中高年でもスマートフォンを使ってfacebookをしている。それはまるで新しい通信・コミュニケーションの標準であるかのようだ。一方、業界ではソーシャル・メディア・マーケティ…

15.世界経済の大潮流

私の信頼するエコノミスト水野和夫氏の最新刊「世界経済の大潮流」を読んだ。(2012年5月)以下は簡単な読書メモである。■利子率革命 2%以下の超低金利が長期間続く状態になると「利子率革命」と呼ばれる現象が起こると水野氏は指摘する。このような…

14.活動に対する存在の優位

幸福の源泉は活動から生まれる喜びだと言われる。活動とは、製作、スポーツ、演奏、演技、ゲーム、料理、創作、などなど何でもよい。熱中し没頭できる好きなことをやる。真の幸福はこうした活動からしか得られないとまで言う人もいる。もちろん活動自体が楽…

13.解放と創造の哲学

5月のことだ。思想家である私に、自らの思想を示す著作がないのは問題だなと思った。各論についての批判なら簡単だ。しかし、そんなものを集めても思想とは言えない。立脚点と体系を明確に示すこと。そのヒントを求めて、私はブログを立ち上げた。近代経済…

12.意識の商品化という悪夢

人が人であるというのは、どういうことか。それは、そこに「われわれ」があるということだ。そして、その前提となるのが、特異なものとしての自分の存在である。人はナルシステでなければいけない。真にナルシストでなければ、人を愛することはできない。ア…

11.闘技的民主主義

シャンタル・ムフ。1943年ベルギー生まれ。女性。ラディカル・デモクラシー(闘技的民主主義)の主張で有名な女性政治学者だ。本書は政治学の専門書だが、一般人でも十分に読める内容になっている。ムフは冷戦終了後の世界を、合衆国のヘゲモニー(覇権…

10.リチャード・ローティ

リチャード・ローティ(1931−2007)。最近なにかと話題のアメリカの哲学者だ。その思想を簡単に整理してみた。■1 反形而上学形而上学とは何かを知らない人はいませんよね? なに。いる? ま、簡単にいってしまえば、形而上学というのは、道徳的なジ…

9.労働という神話装置

現代の労働神話は、一方で労働を美徳として賞賛し、一方では労働を刑罰として捉える。この両義性の中で、労働は人を格付けする装置として機能する。アメと鞭によって、人は懸命に、あるいはそれなりに働く。そこには厳然として階層があり、嫉妬や怨嗟、欲望…

8.仕事をする理由

巷には「なぜ働くのか」だとか「働くとは何か」といった本が氾濫しているが、こんな簡単な問題は数行でまとめられる。多くの人が、答えは一つという前提で考えているからいけないのだ。仕事をする理由は、以下の三つの要素を考慮したうえでの判断である。1…

7.新興心理学批判

今回問題にしたいのはNLPだ。NLPとは、神経言語プログラミングの頭文字であり、ニューエイジ系の心理学である。カウンセリングやコーチングで実践的効果があるとされ、日本でも大流行している。私も心理学や脳科学を知識としてではなく実践で生かす必…

6.心理主義の危険

精神分析を素人がやってはいけない。人は誰も心に物置を持っている。ちょっと入るだけで、いろいろなものが出てくる。それを扱えるのは経験を積んだ専門家だけだ。物置からいろいろなものを引っ張り出すのは簡単だ。 しかし、どれが本質かなど分かったもので…

5.ニートの何が問題か

ニート問題が深刻だと言われている。政府の定義ではニートは35歳以下となっているが、それでも70万人近くいる。中年ニート、高齢ニートを加えると大変な数になる。そして、雇用情勢が好転する見込みはない。厚生労働省はニートを個人の能力や資質の問題…

4.黒い経済成長

いま、日本では成長戦略が話題だ。アベノミクスで日経平均株価は急騰し、円はついに百円台の円安になった。しかし、それを喜んでいいのは一部の人だけなのだろうと私は思う。経済成長は全面的によいことで絶対に必要だというのは財界や御用学者の基本的な立…

3.日本は貧困国なのか

近所のある喫茶店。たった1年で客層が変わった。定年退職した人たちなのだろうか、一人で本を読んでいる老人が増えた。中には数人で日本の未来について政治談議をしている老人たちもいる。これから、どんどんとこういう光景が増えるのだろう。格差というこ…

2.人間らしさの世紀

現在の日本で起こっていること。それはハイパー管理社会化の急速な進行だ。心の病は急増し、それは本人だけではなく、その家族、あるいは企業、そして社会や行政をも苦しめている。この病気には、本人の治療だけでなく、その環境を変えることも重要だ。しか…

1.センチメントな主権議論

巷では「憲法改正」についての議論が盛んだ。しかし、自民党の憲法改正案を読んだ人がどれだけいるのだろうか。自由には「公益及び公の秩序を害する場合を除き」という制限がいたるところで加えられる。誰が公益や公の秩序を決めるのかは明白だ。マスメディ…

カオスなコラム21

はじめにこの本は、政治、経済、社会、文化などを思うがままに書いたコラムの寄せ集めである。 一度は自らの思索の立脚点、構造、志向性といったものを見直して点検しておこうというのが、この作業を行う出発点だった。そして、世界に貢献するには、自分自身…